JSPS PSE143 Workshop No.27 プロセス制御技術:
モデル不要な直接的PID調整法 E-FRIT (Extended Fictitious Reference Iterative Tuning)

MATLABプログラム

関連資料

厳選リンク

E-FRIT
(Extended Fictitious Reference Iterative Tuning)

E-FRITは,プラントモデルを構築することなく,日常的に取得されている閉ループデータ(フィードバック制御下での運転データ)から直接的に最適なPID制御パラメータを決定できる手法です.モデル構築の手間を省き,手軽かつ迅速に高性能なPID制御パラメータ調整を行いたいという産業界のニーズに答えるために開発されました.既に,複数の企業においてE-FRITの適用事例があり,大きな成果をあげたと報告されています.

E-FRITでは,ユーザが事前に決定しなければならない調整パラメータはほとんどありません.運転データ(設定値SV, 制御変数PV, 操作変数MV)があれば,希望する整定時間を与えるだけで,PID制御パラメータが最適化されます.

なお,E-FRITは化学プロセス制御(主な対象は石油化学プロセス)での利用に最適化されています.このため,例えば,PID制御に加えてPI-D制御およびI-PD制御が実装されており,参照モデルには振動のない二項係数標準型を採用しています.さらに,操作変数の変動をできるだけ抑制するような調整がなされています.標準設定で望ましい結果が得られない場合には,適用対象に応じて設定を変更して下さい.

E-FRITの開発にあたっては,徹底的に産業応用で成果をあげることを目指し,日本学術振興会プロセスシステム工学第143委員会ワークショップNo.27「プロセス制御技術」での産学連携技術開発の一部として基本アルゴリズムを京都大学で開発した後,経験豊富な小河守正氏(山武)に改良を重ねていただきました.

一般公開するのはE-FRITのMATLABプログラムです.ソースファイルを公開しますので,アルゴリズムの詳細を確認していただけます.

JSPS PSE143 WS27 プロセス制御技術

2007年6月,実質的な産学連携を通して,プロセス制御技術のさらなる発展を実現するため,産業界で活躍中のプロセス制御技術者と大学の研究者が結集し,日本学術振興会プロセスシステム工学第143委員会に,新しいワークショップを立ち上げました.このWorkshop No.27のテーマは,ズバリ,「プロセス制御技術」です.

事実上の前身にあたるWorkshop No.25 「制御性能監視 ~プロセス産業での実用化を目指して~」の成果を受け継ぎ,産業界のニーズ,産業界が今抱えている課題に真正面から取り組み,約2年の設置期間中に新しい技術を世に送り出すことが,ワークショップの使命でした.

Workshop No.27では,複数の開発技術を実用化した他,高度プロセス制御技術に関するアンケート調査を実施しました.2010年1月の報告会を機に,Workshop No.27の活動は終了しましたが,その成果を社会還元するため,成果の一部を一般公開します.

詳細は,JSPS PSE143 Workshop No.27 のウェブサイトをご覧下さい.

プロセス制御研究会とE-FRIT開発プロジェクト

E-FRITの開発母体である JSPS PSE143 Workshop No.27 は2010年1月に活動を終了しましたが,E-FRITの開発・改良と産業応用へ向けた取り組みを継続するため,有志によって「プロセス制御研究会」を立ち上げ,E-FRIT開発プロジェクトを継続しています.

計測自動制御学会技術賞を受賞

「モデル不要PID調整法E-FRITの開発と実用化」の成果にて,2011年度計測自動制御学会技術賞を受賞しました.

受賞者:
加納 学  (京都大学)
小河 守正 (山武)
田坂 謙一 (京都大学)
高橋 慎一 (昭和電工)
滝波 明敏 (昭和電工)
吉井 清次 (出光興産)
大寳 茂樹 (三井化学)
増田 士朗 (首都大学東京)
※ 所属は受賞当時